biscuit galleryは2024年3月27日より開催されるArt Central Hong Kong 2024に出展いたします。
biscuit galleryは、キュレーターのEnoch Cheng氏が監修に入るセクション「Neo」にて、中澤ふくみと山田美優の2人展で出展致します(A9ブース)。
※「Neo at Art Central」
本企画は、社会的・文化的背景の中で形成されるZ世代として識別される2名の日本の若手作家、中澤ふくみと山田美優の共同展示です。
現代の情報過多の中でのアイデンティティの模索や、デジタル時代の複雑さを背景に、「The power of ambiguity(曖昧さの力)」という共通のテーマに焦点を当てています。
中澤ふくみは「人間とそれ以外のものとの境界」という抽象的なテーマを探求しています。 彼女はこの境界に住む人々や存在をドローイングで具現化し、さらにそれを4次元的な立体作品として発展させています。
中澤の作品に見られるモチーフは、伝統的なアートの枠組みを超えて明確なカテゴリーや定義を拒むフリーフォームで、その動きは軽やかでありながらも深い意味や解釈を持つものです。
一方、山田美優は、独特の技法として砂を主要な素材としてペインティング作品に使用することで知られています。 この砂の選択は偶然ではなく、彼女のアートにおける哲学の反映であり、日常の中で絶えず変化し順応する砂の性質への深い興味と可能性が関係しています。 砂は自然界に存在しながらも、都市の中で人工的にコンクリートや建物の材料として使用されることから、山田はこの素材の多面性や可変性に魅了され、それをアートワークに取り入れました。
この2人のアーティストは、技法やメディウムが異なるものの、「曖昧さ」という共通のテーマに焦点を当てています。その曖昧さは、彼らが生きているデジタル時代の複雑さや情報の多様性を反映しているようでもあります。
曖昧さについて、山田美優はメディウムからアプローチしています。画面に敷き詰められた砂の中に浮かび上がる山田のドローイングは、キャンバス空間とそこに引かれる線とが地続きのメディウムであるという点で極めて境界は曖昧です。境界を持たない山田のドローイングは刹那的であり、波や風に身を任せて形を変える海辺の砂絵のような自由さを持ちます。
一方で、中澤ふくみは描かれることで具象化されてしまうモチーフをどこまで抽象化できるのか、という意識のもと制作を続け、観客に多様な解釈を促しています。
ここでいう「抽象化」は「記号化/特定化されない存在」と捉えられ、ここにもモチーフの変容で表現する中澤の曖昧さを求める姿勢が窺えます。 マッキンゼーの調査によると、Z世代は「True Zen」として位置づけられ、真実を追求し、簡単なラベル付けやカテゴライズを拒む傾向があるようです。この「曖昧さ」は一般的に弱さとして解釈されるかもしれませんが、山田と中澤はこの曖昧さを意識的に選択し、それを用いて広範な世界観を提示しています。
「The power of ambiguity」は、中澤と山田、ふたりのアーティストが独自の表現スタイルによって形成し、発信される、Z世代特有の生き方なのかも知れません。 本企画の展示エリアでは、2人の作品に含まれる〜線を引く〜Drawingに対するアプローチを展示フロアで意識的に構築し、境界を作り出すこと、或いは事物を具象化する行為として、機能させます。また、展示作品はドローイング、ペインティング、彫刻、映像と、多様な作品がブースを構成し、曖昧さをテーマに内包する展覧会でありながら、作品を通じて明確なメッセージを表現する企画として発表します。
開催概要
Art Central Hong Kong 2024
会場:Central Harbourfront
ブース番号:A9 (biscuit gallery)
会期:2024年3月27日(水)〜3月31日(日)
※3/27はVIPプレビュー
参加作家:中澤ふくみ、山田美優
公式サイト:https://artcentralhongkong.com/