【2人展】堀尾昭子・那須佐和子「不滅」
biscuit gallery は、2025年6月15日(日)より、現代美術家・堀尾昭子と画家・那須佐和子による2人展「不滅」を開催いたします。
本展は、渋谷区松濤での営業を経て新たに開廊する、新宿・松井ビル8階「nudge field」に誕生するbiscuit gallery新スペースで開催されるこけら落とし展となります。

展示風景 Photo:Kenta Seki
堀尾昭子・那須佐和子「不滅」
本展では、biscuit galleryが継続的に取り組んできた作家である那須佐和子が、〈具体美術協会〉の元会員でもあり、独自のミニマルな美学を貫いてきた堀尾昭子と初めての展覧会に臨みます。

堀尾昭子《無題》木 , アクリル絵具

那須佐和子《Landscape》Oil on Canvas
不滅
Fumetsu堀尾昭子さんは自分の作品に「無題」と名づける。
「作品は無言であるべき」という彼女のスタンスからだ。
それをはじめに断っておく必要があると思われる。とはいえ、彼女のスタンスをそのまま、飾り立てずに置いておくため、私の作品も参加するこの展覧会には別の名前を冠するべきだろう。私は本展覧会のタイトルを畏れ多くも「不滅」と決めさせてもらった。
作品達について語らないために、ここではただそのタイトルを名付けた動機だけを語ることにする。それを作った人が、それから手を離した瞬間の、そのままで置かれたモノを見る。このモノが不滅だとは誰も言えない。これは不滅ではないのだろう。ただ、その人がそれから手を離した瞬間、その瞬間だけが不滅と呼べるものだった。
ミランクンデラの同名小説『不滅』では、二つの女性像が提示される。一方は、自分の自我を不滅の存在へと押し上げるように手を大きく掲げる女性。他方は、自我を運び回る容れ物としての自分ではなく、ただの存在として消え入ることを望む女性。
前者は歴史を動かすある動源を代表し、後者は、どうだろうか。ただ歴史の流れから立ち止まることを選び、そして立ち去ろうとする存在だ。
美術は前者のような人間が作り出してきたといえよう。しかし時に美術は立ち止まることを教えてくれる。立ち止まらないとモノを見ることはできないから。モノは杭のように時の流れの中に突き差さっている。流れの中に消えさるべき或る人間がそれに触れた最後の時のままで。堀尾さんの作品も私を立ち止まらせてくれた。彼女はこれらを自分の手から離して、世界へ置いて行った。目の前のエフェメラルな素材から成るモノとは裏腹に私が感じたのは、これがまさに不滅ではないかということだった。
那須佐和子
世代を超えた女性作家同士による対話の場として、また、空間と作品の関係性を再構築する試みとして、本展覧会は新たな視点を提示いたします。
【開催概要】
堀尾昭子・那須佐和子 2人展
「不滅」
会場:biscuit gallery(新宿)
会期:2025年6月15日(日)〜7月6日(日)
時間:12 : 00 ~ 19 : 00
※月-火 休廊
入場:無料
主催:biscuit gallery
協力:Gallery NAO MASAKI
オープニングパーティ:6月15日(日)15時〜19時 ※作家(那須佐和子)在廊予定
堀尾昭子(現代美術家)
1937年、徳島市出身。
1959年、徳島大学医学部付属高等看護学校を卒業。看護師として徳島大学医学部付属病院に、次いで兵庫県ガンセンターに勤務する。1962年頃から作品制作を始め、1967年「具体新人展」に出品、翌1968年に〈具体美術協会〉会員となる。
主な展覧会:2019年「堀尾貞治・昭子の世界」展(神戸わたくし美術館)2021年「堀尾昭子の現在」展(西脇市岡之山美術館)2022年「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」展(森美術館)2023年 「コレクション企画 枠と波」展 豊田市美術館
那須佐和子(画家)
1996年、東京都出身。
2023年、東京藝術大学大学院美術研究科修士課程油画第一研究室修了
主な個展:2023年「Sunny, Rainy,」biscuit gallery、2024年「Vestige」NISO(ロンドン)、2025年「ライナスの布」KEN NAKAHASHI
https://biscuitgallery.com/sawako-nasu/
参考情報
同フロアに隣接するギャラリー「AWASE gallery」では以下展覧会を同時開催いたします。

山田康平・関口正浩 2人展 「余りをみた」
会場:AWASE gallery
会期:2025年6月15日(日)〜7月6日(日)
時間:12 : 00 ~ 19 : 00
※月-火 休廊
入場:無料
オープニングパーティ:6月15日(日)15時〜19時 ※作家(山田康平)在廊予定
<biscuit gallery × AWASE gallery トークショー>
会期初日の6月15日(日)13時より、AWASE galleryディレクターの山田康平氏(現代美術家)、松井陸氏(建築家)を迎えたトークショーを開催いたします。biscuit galleryディレクターの厚地がホストを務めます。
「建築と美術」を軸に展開するAWASE gallery。ギャラリー創設のきっかけ、これから目指すこと、biscuit galleryとnudge fieldを始めようと思った理由など、トーク形式でお話を伺います。
会場:On(東京都新宿区新宿3-32-10 松井ビル8F)
日時:2025年6月15日(日) 13 : 00 ~ 13 : 45
参加:無料