【個展】大澤巴瑠|Hal Osawa「PHANTOM」開催のお知らせ

UPCOMING EXHIBITION

大澤巴瑠 個展
「PHANTOM」

biscuit gallery, tokyo  /  solo exhibition

PHANTOM

大澤巴瑠  /  Hal Osawa

2026.11.14 [土] – 11.29 [日]

大澤巴瑠 個展「PHANTOM」キービジュアル
大澤巴瑠 個展「PHANTOM」

2026年11月、biscuit gallery にて 大澤巴瑠 の個展「PHANTOM」を開催いたします。

大澤にはこれまで、2023年の3人展「幻像のラプソディー」、2024年の「grid3」、2025年の「emerge」に参加してきましたが、当ギャラリースペースでの個展開催は、本展が初めてとなります。

大澤巴瑠は1997年 東京生まれ、多摩美術大学美術学部油画科を卒業後、京都芸術大学大学院で油画を修了した作家です。コピー機や翻訳システムといった複製技術を通じ、そこで生まれるズレやノイズを絵画へ展開してきました。《onomatopoeia》《消失と誘発》などのシリーズがこれにあたります。

本展で発表するのは、作家初の映像インスタレーション作品が中心となります。

作家ステートメント

本作の出発点の一つとなったのは、ドイツでパプアニューギニア出身のアーティストと会話した際の経験である。彼女は “colonization(植民地化)” について話していたが、当時その単語を知らなかった私は “coronavirus” の話だと誤解したまま会話を続けていた。互いにまったく異なる意味を想定していたにもかかわらず、表情や相槌、声の調子によって、その場では会話が成立しているように感じられた。

この経験から、私は誤解を単なる聞き間違いやコミュニケーションの失敗として捉えられなくなった。一つの言葉を知らなかったことで、相手が語っていた植民地主義の歴史や、その背景にある経験そのものが、私の知覚から抜け落ちていたからである。すべての誤解が同じ重さを持つわけではなく、誤解が既存の偏見や歴史的な非対称性、権力関係と結びつくことで、他者の経験や歴史を不可視化し、排除やヘイトへとつながる可能性もある。

一方で、人間のコミュニケーションから誤解そのものを取り除くことはできないのではないかとも考えている。村上春樹は『スプートニクの恋人』の中で、「理解というものは常に誤解の総体にすぎない」と述べている。私たちは相手の言葉をそのまま受け取るのではなく、声の調子、表情、視線、身体、記憶、文化、歴史などを通して、欠けた情報を補いながら意味をつくっている。

私は異なる解釈が一致しないまま、それでも関係や応答が続くことで、どちらにも完全には属さない新たな意味が立ち上がる現象を「余解」と呼んでいる。理解が意味の交差であり、誤解が意味のずれだとするなら、余解はずれた意味のまま関係が継続することで、そのあいだに別の意味が生成される過程である。

《through》では、異なる母語を持つ人々に「あなたは子どもの頃、何を信じていましたか?」と問い、それぞれの母語で語ってもらう。その音声に合わせて、私は話者の発話をリップシンクする。同時に、実際に言葉を聞いている私の身体反応や、話者本人の目元・口元、視線などの断片を映像に挿入する。

本来ひとつの会話に属していた声、口の動き、視線、表情、聞き手の反応をいったん分解し、異なる身体と時間のあいだに再配置することで、「誰が話しているのか」「誰が聞いているのか」「何をもって理解しているように見えるのか」という関係を不安定にする。それでも鑑賞者は、完全には一致しない情報を結びつけ、一つの出来事として意味をつくろうとする。

私はこの作品を通して、私たちは何を根拠に自分が他者を理解したと確信しているのかを問い直したい。分かり合えなさそのものではなく、自分の解釈を相手そのものだと思い込み、それ以外の可能性を閉じてしまうことの危うさを、《through》は声、身体、言語、そして鑑賞者自身の知覚を通して考察する。

2026 大澤巴瑠

出展作家

大澤巴瑠

Hal Osawa

1997年 東京都生まれ。2020年 多摩美術大学 美術学部 油画科 卒業、2022年 京都芸術大学大学院 芸術研究科 美術工芸領域 油画科 修了。主な個展に「『いま』『ここ』にしかない」(銀座 蔦屋書店 アートウォール、東京、2025年)、「ERROR」(MEDEL GALLERY SHU、東京、2022年)、「MtK+ vol.10 大澤巴瑠」(MtK Contemporary Art、京都、2022年)。グループ展に「Seen Un-Seen」(LIA Leipzig International Art Programme、ライプツィヒ、2025年)、「emerge」(biscuit gallery、2025年)、「grid3」(biscuit gallery、2024年)、「幻像のラプソディー」(biscuit gallery、2023年)、「KUA ANNUAL 2022『in Cm|ゴースト、迷宮、多元宇宙』」(東京都美術館、2022年)など。アートフェアは ART FAIR TOKYO 2023・2025、ARTISTS’ FAIR KYOTO 2023、ART OSAKA 2024(個展形式)に出品。

デジタルの複製をアナログで複製することにより、価値の曖昧さを作品に仮託し、可視化した作品を制作する。主なシリーズに《onomatopoeia》《消失と誘発》。

オープニングイベント

会期初日の2026年11月14日(土)16:00 より、会場にてアーティスト 山田康平 氏をゲストにお迎えしたトークイベントを開催いたします。

続いて16:30 – 19:00、同じ会場でオープニングレセプションを開催いたします。ご予約は不要です。どうぞお気軽にお立ち寄りください。

INFORMATION

展覧会名大澤巴瑠 個展「PHANTOM」

会期2026年11月14日(土)– 11月29日(日)

開廊時間木〜日 13:00 – 19:00(月・火・水 休廊)

トークイベント2026年11月14日(土)16:00 開始/ゲスト:山田康平(アーティスト)

レセプション2026年11月14日(土)16:30 – 19:00

会場biscuit gallery(東京・新宿)

住所〒160-0022 東京都新宿区新宿3-32-10 松井ビル8階

入場料無料

お問い合わせinfo@biscuitgallery.com

大澤巴瑠 作家ページ  ›

Instagram  @biscuit_gallery  ›

※ 会期・開廊時間などの展覧会情報は変更になる場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。

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